第10章 ※シャボンディ諸島
ローと真鈴は心底面食らったような顔をしている。
「…分かるだろ? こんな手配書初めて見た。海軍が出した。それに必ず生かして捕らえろ、って書いてんだ。…こいつが‘‘清者”ってことに間違いはねェはずだ‼︎」
「…あぁ、そうだな。海軍も分かりやすい手配書作ったもんだ…。」
チラ、と真鈴の方を見た。
真鈴は目を見開いたまま、固まっている。
目線をキッドに戻す。
「…それで? わざわざ敵の俺に、熱弁するために呼び出した訳じゃねェだろうな?」
「違ェに決まってるだろ。」
「…だろうな。」
ローは水ポッドから自分の酒が入っていたコップに水を注いだ。
少し水もらうぜ、と真鈴に話しかけたが、返事はなかった。
まだ固まったままだ。
「…無愛想だな、その女」
「…人見知りだから、緊張しているだけだ。」
水を飲み干す。
「へェ…。」
ジッ、と真鈴を見つめる。
真鈴は視線に気付き、もっと下に顔をうつむけた。
「…目的は何だ。」
ローが話を戻し、キッドの興味を真鈴から引かせた。
「…あぁ。どうだ? 俺と手ェ組んで、‘‘清者”を探さねェか?」
「…は?」
「同盟組まねェか、ってんだよ。」
「何故俺と組まなきゃならねェんだ。」
「…最後に聞いた情報で、てめェが絡んでそうだったからだ。」
「…?」
「この女が姿を消した島…ポリューレ島だったけな。…この女が消えるまでのことが、てめェの能力を使えば可能じゃねェのか? …と思ったまでだ。」
「…知らねェよ。俺じゃねェ。」
コップを置いた。
「…てめェの船が停泊していた、って聞いたが?」
「いつの話だ。…確かに、1日前なら、その島にいたが。」
「その日だよ。…だからてめェを疑ってんだろうが。」
「…へェ。」
素っ気なく返事を返す。
「まぁ、俺は何にも知らなかった。初耳だ。この女があの島にいたのも。…ヤケに海軍が多かったものだから、すぐ出たしな。」
「…そうか。…で、結局組むのか、同盟。」
「…。」
「てめェにもメリットがある。能力を上げるというメリットがな…‼︎」
「…‼︎」
口角を最大限に引き上げて言った。