• テキストサイズ

dcst 夢小説 短編まとめ

第2章 【羽京】東の姫君とお見合い


「私も幼い頃は『命があれば儲けもの』なんて言葉を信じてました。…でも、命があっても、心を病んだり、大怪我を追っても尚、まるで深追いされる様に精神までボロボロにされる人もいる」

そこで桜子はベンチを立つ。ーー顔を見られたくないかのように。

「……大事な人が亡くなるのはもちろん辛いですが、それは一つの『心のヒビ』だと私は考えております。

その後の大事な人の居ない日々や以前の様にままならない日々が。……幾つものヒビが、人を壊すのです。それを見てたので、自然と今の道を選びました」

そこまで言い切ると、ふぅと息を吐く音がした。
何も言えずに居る僕を振り向き、彼女は言った。
「少し暗い話をしてしまいましたね。場所を移しましょうか」

******
その後は、桜子の希望する場所を見て周った。

中華街は音が煩いだろうし無しにしてもいいと彼女は言ったが、気を遣われっぱなしも嫌なので大丈夫だ、と言い切れば了承してくれた。

桜子は淑やかで、都度都度自分への気遣いも忘れない。ーーきっと迚も良い縁談話、というのは自分でも分かった。

横でこれ熱いですね、でも美味しい…と肉まんをハムハムしてる姿には可愛らしさすら覚える。
「こういう食べ歩き、普段は出来ないからやってみたかったんです」ありがとうございます、と食べ終えてからにこにこしている。

ーー縁談、かあ。正直結婚とかは考えていないが、するなら仕事第一で自分で選んだ相手と…と思っていた。

だが桜子は仕事への理解もあるし、彼女自身、自分の仕事への誇りもある。人柄も良い。そして親が進んでやれと言ってきた縁談である以上、ああだこうだと揉める事は無いはず。

揉め事が少ないのであれば彼女ならーー
/ 32ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp