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烏たちの帰る場所。【ハイキュー!!】

第7章 差し込むひかり


「忠ー!遅れるわよ!」

早く起きなさい!

ドア越しに母親の声がする。

うっすらと片目を開けた山口はまだ鳴らない目覚ましを確認する。

6時半。

あと5分。この温かい安全地帯に居させてください。

「忠ーー!ちゃんと朝ごはん食べるのよ」

行ってきます!と玄関で母の声がする。

あー、母さん今日早番か…と起き抜けの霞む頭で考えた。

下からトントントンと階段を軽く駆け上がる音が近づいてきたかと思うと、バン!とドアが開く。

「たっくん!いい加減起きて!!!ご飯冷めちゃう!」

「あと、5分…」

「だーーーめ!今すぐ起きて!」

「むーーーー」

うずくまる山口。布団をむんずと掴んで、ゆさゆさと揺らす。

「むーじゃない!もー。いつまでも寝てると、けーくんと先に行っちゃうよ?」

「それはだめ。…でも眠い。」

「唯香さん、もう仕事行ったよ?」

「知ってる…早番」

もぞもぞと布団から顔だけ出してみれば、それを覗き込んでくる幼馴染と目が合う。

制服の姿にエプロン…。

「か…」

かわいい。と口をついて出そうになる。

山口は一気に覚醒した。

「カーテン開けて?起きるよ…」

「はいはい。」

苦し紛れのお願いに軽く答えて、カーテンを開けてくれる後ろ姿を見つめる。

朝からかわいい姿が見られる役得ではあるものの、起き抜けのかわいいは心臓に悪い。

ああ、どうか神様。
この幼馴染のかわいさに誰も気づきませんように。

そんな祈りを捧げながら、ベットから降りたのだった。
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