第3章 甘え上手の実
「ゲンゲロゲーッ!!!」
「うわあぁ!!?」
「わ、げ、ゲンガー?」
壁からごとすりぬけて
僕を驚かせたゲンガーからは
明確な敵意をもった視線を感じた。
壁に縫い止められるように
抱き締められたがポヤポヤした
顔から一転して笑顔になる。
「どうしたの、さっきまで寝てたのに」
「…………」
「ゲガッ……ゲゲゲ!」
……やっぱり、僕といる時は
なんともない顔をしているのに、
ゲンガーといると嬉しそうなんだよなぁ。
期待感が急速に萎んでいくのを感じる。
「……博士?
どこか、怪我しました……?」
「えっ!?ああ、いや……大丈夫。
ゲンガーもくんと
一緒に居たかったのかな!」
「…………」