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僕と彼女の声帯心理戦争

第13章 【第3章】死神衣装


「……死神の…何かな?」

羽京が問い返すと、えーーお前プロデューサーなんだからそれ位知っとけよ!とAonnファンの1人から叱咤激励される。

『死神のFemme fatale』
ーーと言う三部作の劇場版アニメがあり、その主題歌歌唱をAonnが担当しているらしい。略称は『ファムファタ』。

「あはは、知らなかったよ」
「マジか…俺、この間三部作全部リクエストしたんだよ」「え!?これ連続で歌ってもらわないとアガらねえやつじゃん!!」「一日一曲までなのになんでまた……」

ブーブーと周りから不満が上がっているが……当の本人、Aonnーー葵は、絶賛調理中で今日も華麗な手さばきで周囲を圧倒していた。

「……でも羽京、ファムファタはアニメ見ねー人でも知ってんのに、よくそれでやってけたな…??」
確かに目の前のいかにも体育会系な男達とアニメは縁が遠そうだ。それでもファンかどうか関係なく知ってると言うなら…自分がそっち方面に疎いからだろう。

「そうだね…。それって、どんな話なの?」
「主人公が超絶美人の死神なんだよ!惚れた男の魂を吸い取る悪女!!その主人公とヒーローの恋愛なんだけど戦闘シーンもあってさ」「悪女の死神が綺麗な心の人間の男に恋した、って時点で美味しいよな!!」

なるほど、と羽京は内心呟く。禁断の恋愛ーーといったところか。

「で、ラストがハピエンぽいけどそうでも無いのがいいんだよな~」
「……?どういう事かな?」

羽京が質問する。するとそのファンは少し声のトーンを落として答える。
「……主人公は世界の理を変えて死神の都合のいい世界を作る為の道具だったんで……

それに背いたからって死神側から恨まれて、殺しに来るわ、愛した人間の男…ヒーローの奴が不老不死の死神をも殺せる唯一の武器を持つ人間だったから、その人間に最期殺されんだよ……」


……それは……確かにハッピーエンド、とは行かなさそうだ。むしろバッドエッドではないだろうか。

今度は別のファンが口を開く。

「……ヒーローに刺されて、それで主人公は世界を壊さなくて済む、ってなるんですけど…主人公とヒーローは両思いで献身的な愛を持ってたから、特別条件みたいなのが発動して、
不老不死だった主人公の死神はただの人間に、ヒーローの方は不老不死になるんす……」
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