第3章 お近づきになりたい
「ピッピ!」
サッとカメラを構えるとピッピは
仲間の鳴き声だと認識したのか
コチラに顔を向けピィ!とニコニコする。
かわいい……流石は月の妖精だ。
まるまるとした可愛らしい
ピンクのフォルムに禍々しい真っ赤な
カレー皿を前にさせると心配になる。
みんなが皿に興味を示した所で
スプーンを配っていく。
「ゲン……」
スプーンを奇妙なものでも見るように
眺めているゲンガー、
金属のつるりとした冷たさを気に入ったのか
咥えて離さないグレッグル。
スプーンを"つかうもの"と分からずに
不思議そうにしているピッピ。
当たり前だがこの子達はトレーナーの
ポケモンではなかったのだった事を
今更ながら痛感する。
こんなに辛くてアツアツのカレーを
スプーンを使わずにどうあげるべきか。