第3章 お近づきになりたい
「ゲンガー、あーん」
カレーをひとさじすくって
ゲンガーの口元に運んでみる。
しげしげと眺めると長い舌が
スプーンをまるごと巻き取る。
スプーンごと持ってかれてしまい
ハラハラと見守っていたが、
「ゲガッ!」
少しずつならそこまで熱くない、
と理解したらしくペッとスプーンを
手に出すとカレーをすくう。
幼児がもつような手つきだが、
元から手が器用なのかカレーを
食べるには申し分なさそうだ。
キョトンとしていたがそれをみて
ピッピもおずおずと真似しだす。
ピィ!と辛さにビックリした顔をし
しかし嬉しそうにカレーを食べる。
この子は好き嫌いがないのかもしれない。
問題はグレッグル達だった。
果物にまず寄ってきたのもこの子だが、
やはり辛さが苦手なのかスプーンが
分からないのか手をつけようとしない。