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ゲンガー夢

第18章 リゾートデート(ユナイト編3)


楽園があるとしたら、
一体どんな場所だろうか。
きっとエオス島のように熱気と夢と
自由と安定した衣食住のある場所だ。
でも俺達が行きたいのは、
生きていたいのはそこじゃない。

「カメラ、持ってくるんだった」

「レンティルが恋しくなったか?」

「……そうかも」

その言葉に流石に面食らう。
何を刺激してしまったのかレナの
横顔は何を考えているか分からない、
どこか影のある表情をしていた。
薄明かりしかないここに
俺とレナしか居ない気持ちになる。

「……大丈夫か?」

「えっ……、なに?変な顔してた?」

レナが繕うように笑った。
最近つけるようになった
赤いマフラーをそっと握りしめる。

「そう言えば……
前はあんなに喋りたかったのにいざ
喋れるとなるとあんまり話さないね」

「……そうだな。
まあ、最近忙しくしてたしな」

「また言う」

「ほっとくのが悪い、
何度だって言うぜ?俺は」

むくれている俺を抱き締める腕。
すり寄ると力が増した。
暗く見るものも少ないせいか
ここには誰も通らない。

しばらくそうして寄り添ったまま
細い光を眺めていた。
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