第17章 ゼラオラとマフラー(ユナイト編2.5)
倒しきれなかったワタシラガへ
ラビフットがトドメのひのこを決める。
その姿はエースバーンに変わった。
敵の動きから相手選手の動揺が伝わる。
「ファイアロー!」
「……!」
コチラが固まった所に影が落ちる。
空からの一撃を二匹は華麗にかわした。
一度陣形が崩れてしまえば後は早い。
数不利からなす術もなく
やられてしまったファイアロー。
もはや残る一匹も右往左往するばかりだ。
そちらに容赦ない追撃をするエースバーンを
横目に息を整え技を一気に解放して
カジリガメを弱らせていく。
後に続いた味方と共に
カジリガメを倒しきり味方全員に
シールド効果が付与され
観客席とインカム、そして私が、
皆が一様に歓声を上げる。
込み上げる熱、確かな高揚感。
「……うっし!」
ゼラオラの笑みを噛み締めた声音。
先程までの強張った返事とはちがう。
ゼラオラがカジリガメの場所で
得意気に一回転してみせた後、
直ぐ様その表情は硬く攻勢に変わる。