第17章 ゼラオラとマフラー(ユナイト編2.5)
そうして初めての試合が始まった。
「ゼラオラ、そろそろ二回目蜂だよ!」
「……うん!」
指示への返答は毎回短い。
インカムに息遣いが伝わってくる。
悔しさ、喜び、苦しみがリアルタイムで
選手にのしかかってくる。
「ガンク!体力みて引き気味で!」
「……!OK!」
私が出した撤退の指示がMAPにでると
味方についていたラビフットも下がる。
それは近くにいるポケモンの声も
インカムに乗るという事だった。
「あと少しだったのに……HPあるだろ」
イラつきを隠さないラビフットの声。
確かに前へ出れば1キルはとれたろう、
しかしそれはチェスと同じだ。
明らかな捨て駒があってとれば
コチラがより多くとられる一手になる。