第16章 異なる世界で(ユナイト編2)
「●◎@〒%★」
レナが何事か言いながら手を振る。
彼女は身軽なスポーツウェアになって
ゼラオラの指導に当たっていた。
まだどちらかといえば彼女が
ゼラオラにユナイトを教わる側だ。
彼女の口から発されているのは人語とも
ポケモンの鳴き声とも違う。しかし、
言葉と言うより感覚で"鳴いている"。
いつか人間のコミュニケーションのうち
身ぶりや表情がほとんどを占め、
言語は2割程度の意味しかないと聞いた。
ポケモンや今の彼女と接していると、
妙にその言葉を実感する。
つまりは言葉に出さなくても
感情が伝わってしまうという事でも
あるのではないだろうか。
あれだけ渋っていたわりに
レナは楽しそうにコートを駆けた。
ますますゲンガーの
機嫌が悪くなるのを肌で感じる。
本人は気がつかないのだろうか……?