第11章 里帰りの手土産(上)
「ゲゲン……!ゲンガ!ゲンガ!
(お前……!なんでだ!こんなこと!)」
「ゲンガー、ゲッゲロゲン!
(決まってる、気にくわないからよ!)
ゲンガ!ゲッゲン!
(アンタも!ニンゲンも!)」
「ンゲゲ……」
ゲンガーという生き物は憎しみが強い。
何に対してかは個体により違うが、
コイツはなぜか人間に固執していた。
かといってポッドの子供は嫌っても
さして嫌がらせはしてこなかったのに。
アイツが話すには自分が
人間だった記憶があるのだという。
人間は誰もが最低な生き物で、
特にレナは気にくわないらしい。
吐き捨てるように言うと
メスゲンガーは消えた。
気にくわない、ね……。
まだ寒そうに縮こまるレナを見る。
別に俺だって気に入ってるだけで
すべてが好きだって訳じゃないんだが。