第11章 里帰りの手土産(上)
「さて……うわあ、
ここを道具なしで登るの……?」
幸いネオワン号のゲートが
すぐ近くに見えるし
1日何も食べなければなんとか……
しかしそれまでにサザンドラが
目覚めないとも限らない。
「……あの辺が低そうかな」
端に近寄ると微かに見える上の段が
他よりも低くなっていた。
流石に上がったらどうなっているか
まではここからでは確認できない。
どうにかこうにか鍾乳石の窪みに
手をかけ上がっていく。
さざれた岩肌に手袋が傷んだが、
こればかりは緊急事態なので仕方ない。
「わっ」「ゲゲン」
ゲンガーが下から浮かび私を持ち上げ
上段につくとむわっと熱気を感じた。
この香り……もしかしてこれは……。
「これ……温泉?」