第11章 里帰りの手土産(上)
サザンドラが鳴き声を上げる。
最初その怒りの咆哮に目をつぶるも、
とくに痛みは感じられない。
薄目を開けるとサザンドラは辺りを
忙しなく見回している。
もう一度サザンドラが鳴いた。
今度は何が起こったか分かった、
ゲンガーだ!来てくれた!
野生のゲンガーの上に現れると
バレないように石をなげたらしく、
たちまちターゲットが移った。
野生のゲンガーは狼狽えると
慌ててホールへと引っ込んだ。
2匹が先程までいた場所へ
トライアタックの目も眩むような
輝きが岩壁に直撃しヒビを入れた。
巻き込まれたクロバットが
その場に落ちたのをみて怒り狂った
サザンドラが突進する。
「ゲガ……!」
「ゲンガー!……本物だよね」
ペタペタと触ると怪訝そうにされる。
大暴れしていたサザンドラだったが、
コチラに気がついたらしく
ゲンガーと見るなり向かってきた。
「ひ……!ゲ、ゲンガー!来た!」