第11章 里帰りの手土産(上)
「……ハッ」
つぎに意識が戻った時、
私はサザンドラに睨まれていた。
冷や汗を感じながら視線だけで
辺りの様子を伺う。
どうやらここはドラゴンタイプたちが
たむろしている地底湖のほとりだ。
しかもキャンプ地までは
一度崖を登る必要がありそうだ。
これでは走って逃げてもどうにもならない。
忍び笑いが聞こえ目をやれば、
丁度反対側辺りの隅にゴーストホールから
頭を出しているゲンガーがみえる。
あれは……別の野生のゲンガーだ。
あれからゲンガーの伝承を見たが、
どう考えてもゲンガーの主食は……。
私のゲンガーがあの体と重さで
かなりの食欲があるのも本来の
"主食"を食べてないからかもしれない。
今、待っているのだ。本来の餌食を。
辺りをフワンテやクロバットが舞う。
あれもまたおこぼれに与るために
その時を待っているのだろうか。