第11章 里帰りの手土産(上)
キャンプの支度をしていると
いつか聞いたような甲高い
怒ったグレッグルの声がした。
またゲンガーがグレッグルを
からかっているのだ。
「ゲンガー!
もう、弱い者いじめしないで!」
「ゲン?」
ギロ、と明らかな敵意を感じて
思わず半歩後退る。あれ……?
なんだかいつもより大きいし、
ずいぶん怖いような……。
ニタ、と笑ったゲンガーの目が
赤く輝くと脚が強ばるのが分かる。
にげだせない……!
手に怪しい紫色の光を集めると、
私の体が宙に浮いたのが分かった。
グレッグルが慌ててゲンガーの
体を殴っているがゴーストタイプには
格闘が効かない。意味はなかった。
ギリ、と体が締められ意識が薄らぐ。
これは……かなりまずいかも……