第11章 里帰りの手土産(上)
「ゲンガ」「ピィ?ピッピ!」
ゲンガーが近くにいたピッピに
声をかけると嬉しそうに笑う。
そういえばキャンプでカレーを
振るまった時もピッピが居たような。
この2匹は仲が良いのだろうか。
「……ゲンガー、
ピッピが何を言ってるか分かるの?」
「ゲッ」「ピィ?」
なんとも判別しがたい反応が返る。
人間とポケモンは分からなくても、
ポケモンなら種族が違うのに
会話ができるってこと?
むう、とピッピを見つめる。
私にはゲンガーが何を
言ってるか分からないのに……。
ふい、とそちらから離れ、
断崖を懸垂下降するロープをかける。
あっちの岩棚にキャンプを張ろう。
……ここはまだ、高さもあるし。