第4章 #03 掠れた夢
雄英に乗り込む日も正式に決まった。
【まさか、彼女も連れていく気かい?】
【……ああ。】
【面白い話だね、弔。君のその気持ちの変化はなんだい?】
【ーーーこいつがヒーローの卵を見ても、敵になる気持ちが揺らがないか、ただ知りたいだけだ。】
【…そうか。】
乗り込む日、わたしも一緒に連れていくんだと弔さんは言った。
先生は面白そうに弔さんに問いていたけど、その意図をわたしは分からずにいた。
弔さんの言葉でさえ、わたしは意味を理解できなかった。
わたしは別に、この道を選び進み始めたことに後悔はしていないのに。
【いっしょに、ヒーローになろうね!】
思い出す、幼い頃のわたしの言葉。
ヒーローになりたかったわたし、いつの間にか違う道を進み始めようとしている。
出久は、今はヒーローに向かって頑張っているんだろうな。
かっちゃんは、オールマイトを超えるヒーローを目指しているんだろうな。
ーーーーかわいそうに。
この社会の仕組みも知らずに、ヒーローになりたいなんて。
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