第4章 #03 掠れた夢
『……え、えっと…こ、こんばんは……?』
バーへ戻ったあと、弔さんの計画を聞いた。
オールマイトの時間割を照らし合わせ、その時間帯に合わせて敵らを集めて生徒もろとも潰しに行くと。
その計画を先生と弔さんを交えて聞いていたのだが、席を外していた黒霧さんが帰ってきたらしい。
ーーー妙な、脳みそおっぴろげのヒトならざるモノを引き連れて。
無意識にわたしは挨拶してしまっている。
脳みそくんは、ぎょろりと視線をこちらへ向けたあと、丁寧に会釈してくれた。
「なんで挨拶してんだ」
『え、え!?わたしがおかしいですか!?』
「ソイツは脳無だ」
『…脳無?』
「対平和の象徴として作られた改造人間だ」
話を聞くと、圧倒的なパワーを持ち、個性を複数持つ人工的に作られた人間らしい。
意志はなく、命令でしか動くことができないと。
だが、わたしの挨拶には意識的にお礼を言っているようにも見えた。
わたしが手を差し出すと、大きな手で小さく握り返してくれた。
強大な力を持っているというのに、わたしの手を握りつぶすこともなく、か弱い力で答えてくれた。
「こいつは俺らのことは仲間として認識している。敵意を向けることはない。」
わたしは改めて、脳無さんに会釈を送った。
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