第4章 #03 掠れた夢
雄英内は、想像以上に広かった。
教室の扉も高すぎるし、廊下も広すぎる。
ある程度の校舎内は、入学通知と一緒に入っていた地図で理解はしていたが、それを持ってくるわけにもいかなかったので必死に覚えた。
だが、見つからない。
焦れば焦るほど足が早くなっている。
冷や汗が滲み始めている。
ど、どうしようーーー!!!
弔さんから借りた手で、弔さんと同じように顔を隠している。
そこから見据えるオッドアイの瞳が、焦りで揺らいだ。
廊下を走り続けたとき、曲がり角を曲がった瞬間に誰かとぶつかって尻餅をーーー
つかなかった。
わたしの体は、尻餅を着く前に浮いていた。
「ご、ごめん!大丈夫!?怪我ない!?」
ショートカットの、丸顔の女の子だった。
その子の個性だ。
『ご、ごめんなさい!急いでて!』
「ううん!わたしもちゃんと前見てへんかったから、ごめんな」
『あ、あの、職員室ってどこだったっけ…』
「あ!ここ広くてなかなか覚えられんよな〜!そこ曲がって、突き当たりを左行ったところ!」
『ありがとう…!!』
丸顔の女の子は、両手を合わせて個性を解除した。
運良く情報を入手したわたしは彼女にお礼を伝えたあと、そのまま走って向かった。
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