第4章 #03 掠れた夢
今回の仕事は簡単だ。
野次馬に紛れて、弔さんの個性で校門を崩壊させる。
雄英生徒のわたしは、その姿を利用して、オールマイトの時間割を探してくる。
先生と弔さんに任された、初仕事だ。緊張している。
『わ、わたし、大丈夫でしょうか…』
「知らん。お前が失敗したら、雄英のセキュリティが強化されるだけだ」
『…せめて応援してくださいよ』
「しない」
『ひどい!』
「ーーー俺はただ、お前をここで待ってるだけだ」
その言葉で、さらに世界が広がった気がした。
赤い瞳が、わたしを真っ直ぐ見つめている。
待っててくれる人がいる。
それだけで、わたしは強くなれた気がした。
力強く、頷いた。
ここからは別行動。
野次馬に紛れて、弔さんは校門に近づいた。
わたしはその後ろで待機した。
ーーー一気に校門が崩れた。
一斉に雄英へ入り始めるマスコミたち。
弔さんの視線がわたしを貫いた。
【いってきます】
心の中で、そう告げて。
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