第4章 #03 掠れた夢
弔さんは、徐にテレビをつけた。
ニュース番組だった。
さまざまなニュースが取り立たされている中、雄英高校のインタビューが映った。
といっても、マスコミが一方的に雄英生徒にカメラを向け、無理矢理オールマイトの情報を聞き出そうとしているようだった。
『乗り込むつもりですか?』
弔さんは何も言わなかった。
黒霧さんも、その霧をゆらゆらと揺らしているだけだった。
『…オールマイトが雄英にいる。恐らくセキュリティは万全のはずですが、それさえ乗り込めばーーーーオールマイト、平和の象徴を " 消して " しまえば、雄英に…世間に揺らぎが生じる……とかですか? 』
「さすがだね、天羽 イヴ。だいたい、そんな感じじゃないかな」
『先生』
テレビの画面が真っ暗に代わり、先生の声が聞こえた。
わたしも弔さんを真似して、先生と呼ばせてもらっている。
「といっても、オールマイトを殺すには少し準備が必要だね。弔、雄英はどうだったかい?」
『え、弔さん雄英行ってたんですか?』
「……校門に野次馬が群がっていた。恐らく雄英自体は " 普通 " に入れない。ご丁寧に、雄英関係者じゃないと門すら開かん」
ちらり、と視線をわたしに向けてきた。
「そこで、君の初仕事だよ。天羽 イヴ」
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