第3章 #02 ようこそ
おぼつかない足を動かし、歩いた先には薄暗いカウンターがあった。
どうやらここは隠れ家的なバーらしい。
薄暗いカウンターとは対照的に、テレビの灯りだけが不気味に光り輝いている。
わたしは立っているのもやっとの状態なので、黒霧さんの案内のもと、カウンターの席へ座らせてもらった。
「やあ。目が覚めたのかい。」
SOUND ONLYと書かれたテレビからは、あのときに助けてくれた男性の声が聞こえた。
『あの、』
「言いたいことはたくさんあるだろうね。なぜここにいるのか?なんで助けたのか?今自分はどこにいるのか?…知りたいことばかりだろう。」
まるでわたしの心の中を見透かしているような言葉ばかり。
その声はにやついた声色をしながら、話を続けている。
「うむ……まずは君がどの程度 " 完成 " したのか見てみたいものだが、今知りたいのはこれだろうな。弔。」
「……ああ」
弔さんはテレビの近くへと近づき、操作をし始めた。
SOUND ONLYという言葉は消え、普通に番組が流れ始めた。
弔さんが見せてくれたのは、ひとつのニュースだった。
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