第3章 #02 ようこそ
「おはようございます。気分はいかがでしょうか?」
黒い霧からキラリと光る目が映る。
三日月形をした光。どうやら微笑んでいるらしい。
『え、と、体が重い…くらいです…』
「体が重いのはしばらく動かしていなかったからでしょう。他に支障がなくて、本当に良かった。」
『あの、ここは…?』
「俺らのアジトだ。俺らはここでひっそり暮らしてるってわけ。」
死柄木弔さん、は部屋の椅子にドカンと腰掛けた。
時間も少し経ってきて、体も少しずつ和らいできた気がしたので、わたしは力を振り絞って体を起こした。
筋肉痛の痛みのようなものがあるが、他は支障なかった。
「死柄木弔、あのことはもう伝えたので?」
「いいや、まだだ。何せ数日も意識ぶっ飛ばしてたからな。話す暇もない。」
「なるほど、確かにそうですね。」
『あの、あなたたちは、一体……』
「申し遅れました、わたくし、黒霧と申します。で、そちらの青年がーー」
「……死柄木、弔だ。好きに呼べ。」
『黒霧さんに、弔さん……』
「…黒霧、最終確認だ」
「かしこまりました。イヴさん、立てますか?」
『あ、はい…』
久々の地面に、足をつける。
体がなまってるし、固まってしまっている。肩も痛い。
体も重く感じるが、なんとか立つことができた。
「来い」
弔さんはわたしにそう告げると、部屋の外へと案内した。
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