第3章 #02 ようこそ
次の日、わたしはしっかりと目を覚ました。
体はまだ思うように動かず、首を動かして辺りを見回すので精一杯だ。
閉められたカーテンの隙間から明かりが漏れている。
朝なのか昼なのか夕方なのか、この部屋では分からない。
意識ははっきりしているのに、まだ夢の中にいるような感覚だ。
【俺たちは敵だ】
彼が告げた言葉が頭の中に響いていく。
わたし、敵に助けられた?なんで?
そんな気持ちが浮かび始めたと同時に、頭の中であの光景が蘇る。
血塗られたリビング。
生々しい臭い。
倒れた両親。
敵に捉えられた今、未来なんてないんじゃないだろうか。
このまま殺されるのかもしれない。
段々と恐怖が増し、体が震えていくのが分かった。
そのとき、体に少しだけ違和感があるのを覚えた。
なにーーー?
と考えているうちに、部屋の扉が開いた。
そこには、助けてくれた青年と黒い霧に包まれた人物がいた。
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