第3章 #02 ようこそ
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何日くらい経っただろうか。
虚ろとした意識の中、ようやく目を覚ました。
片目しか見えない世界。
どうやら包帯が巻いてあるようで、この部屋も薄暗くよく見えない。
意識も完全にハッキリしておらず、ただ目を覚ましただけのよう。
ベッドで横になっているのが分かる。
だが体調は万全ではないようで、頭がガンガンするし身体中暑い。そして気持ち悪いし吐きそうだ。
動かせない体の中、視界を少しだけ動かした。
「起きたか」
そこには、椅子に座るあの青年がいた。
『ーーーー、ー、』
寝すぎていたせいか、声が掠れて形にならない。
「まだ声出ないだろ。寝てろ」
彼はそう言い、包帯から覗く頬に少しだけ触れた。
あなたは、あなたたちは、だれなの。
何者なの。
なんでわたしを助けてくれたの。
彼は、わたしが何を言いたいか理解したようだった。
「俺たちは敵だ。世間的にはな。」
わたしには、そんな彼らを敵としてなんて見られなかった。
こんな姿になってもまだ看病し続けてくれている彼らの気持ちが嬉しかった。
わたしはまた、自然と意識を手放した。
彼は椅子から立ち上がり、部屋から出るとテレビに向かってこう告げた。
「先生、成功だ。」
何が成功したかなんて、今はまだ知らないままで。
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