第3章 #02 ようこそ
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頭が痛い。
体が痛い。
これは夢か?
意識がないようである感じだ。
なにも考えたくない。
ーーー思い出したくない。
このまま眠ってしまいたい。
頭の中で、声が響いている。
わたしを助けてくれた、あの人たちの声が。
【先生、こいつに打て】
【これはまだ試験段階だよ、死柄木弔。脳無のようになる可能性は高い。】
【関係ない、なったらなっただ。打たなかったらそのまま死ぬ。傷が治ってからじゃ、その “ 個性 ” は使えないんだろ。】
【……君は彼女を救いたいのかい?】
【……んなわけない……気まぐれだ。】
【…そうか、なら君が打て。君が彼女の運命を決めるんだ。】
しがらき、とむら、さん。
あの青年の名前だろうか。
先生と呼ばれた、あの人とは違う、暖かな手。
それだけでわたしは救われた気がしたんだ。
【お前にこれを打つ。適合すれば、また飛べるようになる。】
意識が浮ついている中、彼の声がさらに近くで聞こえた気がした。
【生きろ】
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