第2章 #01 憧れた雄英
勢いでそのままわたしは、両親の血の海に飛び込んだ。
幸い強い力ではなかったが、目が霞む。
「誰だよ、コイツ?」
「娘じゃなかった?子供いるって言ってたし」
「なんで誰も見張りしてねぇんだよ!?」
「だって、まだ試験終わりの時間じゃないじゃない!」
そこには、複数の人が立っていた。
気配には気付かなかった。
恐らく、特有の個性を持った人たちだろう。
だが、わたしはその人たちに見覚えがあった。
それが信じられなくて、目からは涙が溢れている。
『な、なんで、』
「……ごめんね」
うつ伏せで倒れたわたしは、その中の1人の個性で身動きが取れない状態だった。
霞む視界でも、冷たい目で見下ろされているのが分かる。
「ごめんね」と謝ってきたその女性の手は、鎌のように鋭く変形している。
わたしの左側の翼を手に取り、その鎌を添えた。
『や、やめて、!!!!!!!』
わたしの叫びも虚しく、わたしの左翼は鎌によって引き裂かれた。
『あああああああッ!!!!』
激しい痛みで意識が飛びそうになる。
切断された左翼は、無惨にもわたしの目の前に捨てられた。
なんでーーー
なんで、あなたたちがーーー
「わたしたち、ヒーロービルボードチャートJPに載りたいの。載れないのよ、あなたのお父さんお母さんがいると」
そこにいた数人全て、
両親と仲の良いヒーローたちだった。
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