第2章 #01 憧れた雄英
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辿り着いた我が家。
玄関を開けると、そこは既に荒らされた状態だった。
これは、なにーーー?
漂う、嗅いだことのない臭い。
呼吸が浅くなり、手が震えているのが分かる。
夕焼けはあんなに綺麗だったのに、今はそれを感じることさえ忘れていた。
リビングへの扉を開く。
荒らされた部屋。
傷ついた我が家。
血の海に倒れる、両親たち。
『え、?』
【おはようイヴ!受験、がんばってね!】
【お父さんたち、今日は非番だから久しぶりにご飯でも食べに行こう!がんばるお祝いだ。】
【ほんと!?楽しみ!わたし、がんばるね!】
雄英の受験だからと、
頑張ってねと、
帰ったら久しぶりに家族で過ごそうと、
言ってくれた、両親の言葉が頭に響く。
朝のあの日常がなかったように
目の前には信じがたい光景が広がっている。
『おと、さん…?おかあさ、』
言葉が出ない。続かない。
震える手足、乱れる呼吸。
そのまま、両親に近づこうとしたときーーー
ガツンと、頭を何かで殴られた。
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