第2章 #01 憧れた雄英
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一瞬で終わる。
そう確信していた。
空高く飛び上がり、全体の確認。
ロボットの位置。
受験している生徒。
なるべく位置を覚え、把握していく。
手を突き出し、見える全てに " 重力 " を加えていく。
全てだ。
集中し、手先の感覚を研ぎ澄ませる。
人の重力。
ロボットの重力。
建物の重力。
それを全て感じ取りながら、一気に力を加えた。
ドオオオオオオオオン!!!!!!!!
大きな音が会場中に響き渡る。
倒れてしまったビルなどもあるが、自分の中ではよく出来た方だった。
翼を広げ会場中を飛び回ると、粉砕したロボットたちが転がっている。
生徒たちはわけが分からないといった顔だ。
やっぱり、わたしは強い。
そう確信してしまったのだ。
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わたしの個性は【重力】
母から受け継いだ個性だった。
浮かせることも、重力を加えることもできる。
見える範囲全て、わたしの思うがままに操れる。
浮かべて遊ぶこともできるし、
屈服させることだって可能な力だ。
だが、まだまだ個性の調整をしなければいけないなと思う。
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