第2章 #01 憧れた雄英
かっちゃんと出久と別れたわたしは、自分の試験会場へと向かった。
会場はどうやらまだ閉まっているようでガヤガヤと人がごった返している。
「広!もう街じゃん!」
「さすが雄英!金かかってんじゃん!」
「すげえ!これなら個性使い放題じゃん!」
個性に合わせた装備をした人たちが、わいわい話し込んでいる。
確かに、この会場はめちゃくちゃ広かった。
想像の倍以上の広さであった。
『すっご…』
大きさに圧倒されてはいるが、わたしも負けてはいられない。
準備運動をかねて白く輝く翼を大きく広げた。
翼を生やしているのがわたししかいないため、目を引くようで、周りからはチラチラと視線が漏れている。
自慢の翼。
それだけがわたしの輝きだった。
「ハイスタート!!!!!!!」
その声は、会場中に大きく響き渡った。
え、スタート…?
「実践じゃカウントダウンなんざねえんだよ!!走れ走れ!!」
プレゼントマイクの声で一斉に生徒たちが会場に入っていく。
始まりの合図がもう鳴らされたようだった。
出遅れていたわたしだったけど、同時に笑みも浮かんでくる。
翼を大きく広げ、会場上空へと飛び立ったーーーー
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