第2章 #01 憧れた雄英
液晶越しでずっと見てきたNo.1ヒーロー。
その人物がわたしたちの後ろに立っていた。
な、なんでここにオールマイトがーーー
「TEXAS SMASH!!!」
なんてことを考えているうちに、オールマイトは拳を振り上げてヘドロになった敵と出久を一瞬で吹き飛ばした。
その突風で出久はトンネルから姿を消し、出口の向こう側で倒れている。
颯爽と敵を倒したオールマイトは、空になったペットボトルの中にご丁寧に敵を詰めていく。
わたしはヘナヘナと足を崩し、その場へ座り込んだ。
オールマイトが来てくれなかったら、今頃出久はーーー
飛ばされた出久のもとへ駆け寄ってやらなければいけないのに、今は自分の無力さに腹が立った。
「大丈夫かい?」
ずっと憧れていたNo.1ヒーローが心配そうに声をかけてきてくれた。
すっと差し出された手を取り、ゆっくり立ち上がった。
「怪我はないかい?」
『あ、はい…大丈夫です、ありがとうございます…』
「敵退治に巻き込んでしまってすまなかった。と、少年も吹き飛ばしてしまって、申し訳ない」
『いえ…出久を助けてくださって、ありがとうございます』
「君も怖かっただろうに…よく立ち向かった!!!」
『怖く、なかったです。必死だったので』
そう伝えると、急いで出久のところへと駆け寄った。
「考えるより先に、体が動いていたーーか」
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