第2章 #01 憧れた雄英
「で、話ってなに?」
午後の授業も終わり、みんなは帰り支度を済ませていた。
部活に行く者。
そのまま帰る者。
教室でだべっている者。
帰ろうとしたとき、かっちゃんに声をかけられた。
【話がある】
といっても幼馴染。
家も近いわけで、話と言っても一緒に帰っているだけなんだけど。
結局帰り道でかっちゃんは何も言うことはなくて、幼い頃、3人で集まって遊んでいた公園へ辿り着いた。
ベンチに座っても話始めないかっちゃんに、痺れを切らして話を切り出した。
『なに〜?改まっちゃって。告白?』
「バカか」
『ごめんごめん、で?なに?』
「雄英、お前も受けんだろ」
『……うん、もちろんだよ。出久も受けるし、3人で受かるといいね』
「無個性だぞアイツは。受かるわけねえ」
『分かんないよ〜。前例ないだけだもん。わたし、みんなで同じ高校行きたいしね』
「……アイツはどうでもいい。お前が受かるなら…」
『ん?なんか言った?』
「…なんでもねえ」
ベンチから立ち上がり、くるりと回りながら背中に生えた翼を大きく広げた。
夕暮れどきのその白い羽は、赤い夕暮れを反射させていた。
『口悪くても、出久のことが心配なんだねえ』
「ハ!??んなわけねえだろ!!!!」
『がんばろうね、一緒に』
【 オレは、オールマイトをこえるヒーローになる! 】
頭の中で、幼い頃のかっちゃんの声が聞こえた。
思いはみんな一緒なんだ。
伸ばした手を、かっちゃんはハッと笑いながら手に取ってくれた。
.