第2章 #01 憧れた雄英
.
.
.
.
「イヴちゃん、さっきはありがとう」
お昼休み、出久は中庭にいるわたしのところへ来てお礼を言ってくれた。
購買で買ったであろうクッキーをお礼にと渡してくれた。
もらったクッキーを頬張りつつ、出久にも一緒に食べようと差し出した。
『いいのいいの。わたしもそう思うし。高校なんて好きなところ受けないと意味ないしね。今の時期、みんなピリピリしちゃうし仕方ないよ』
「…でも、事実だなって思っているもの本当なんだ。無個性の僕に、何ができるのかなって」
『まだそんなこと言ってるの?大丈夫だよ!ヒーローになるために頑張ってる出久の姿、知ってるよ。小さい頃からずっとオールマイトに憧れているのも知ってる。前例がないだけで、もしかしたら出久が前例作っちゃうかもしれないじゃん!?』
隣に座ってくれた出久の手を握りながら、そう伝えた。
顔を赤くしながら小さく微笑んでくれた出久は、幼い頃のあどけない表情のままだ。
「ありがとう。いつも、こうやって勇気もらってばっかりだ。」
『出久は誰よりも頑張り屋さんで優しいんだから、きっと素敵なヒーローになるよ!』
「…うん!がんばるよ!」
そんな話をしていたら、気づいたらお昼休みの終わるチャイムがなっている。
『あ!もうお昼休み終わりだ!行こ!』
「う、うん!」
.