第11章 決戦前夜
このスマホをくれた審神者に聞けばわかるだろうか?
いや、政府の高官ならともかく、一兵隊である彼が知っているとは思えない。調べてもらうのもリスクが伴う。
なにせ彼は、術者の当初の思惑とはおそらく違って、記憶を取り戻してしまったのだ。
再度記憶を奪われることも、容易に考えられる。
>すまない、今の俺には思い当たるものがない。
>保管室といっても、本丸が消されてしまったのでは、どこにあるのか……
前田>>いえ、保管室ならもう一つ、確実に場所がわかっているものがあります。
「鶯丸ー!」
通知音と、誰かの呼び声が重なる。
端末に埋め込まれた小さなライトがちらりと光った。
まばたきすら惜しく、食い入るように打ち出された文字を目で追う。
前田>>政府の保管室です。