第7章 君が私の煇。Ⅱ
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「……硝子には会ったかい?」
「うん、傑も、悟に会った?」
「ああ……」
悲しそうな顔。
私と硝子みたいに、いい別れ方では
なかった様だ。まあ、悟だしな。
「あ、そう言えば、今度盤星教の前で
演説をしようと思ってね」
「珍しい、猿と戯れるの?」
「そうだよ、猿共に私達呪術師に
逆らわない様にさせないとね」
わかってる。
呪術師、非術師関係なく、人として
歪んでしまった事。
この道以外の道もあった事。
でももう止まれない。
父を呪い殺した、呪いを生んだ非術師を
許せないし、許す気もない。
お門違いなのも分かってる。
けど、その考えを否定してする事は
私自身、そして傑を否定する事と同じだった。
盤星教は思った以上に猿の数が多い。
正直、吐き気がした。
「雪奈、愛してる。
ずっと私の隣にいてくれるかい?」
「………あはは、また言ってる」
「私は常に、私の気持ちで動きたいのさ」
「私も……愛してるよ。
傑、一緒に地獄を歩いてくれる?」
「勿論、さあ行くよ、お手をどうぞ」
「…夏油様、安比様」
「2人とも、よく見てなさい」
傑がそう言って、2人で壇上に上がる。
行く先は地獄、でも傑と一緒なら
それも悪くないかな。
"私に従え、猿共"
私達の野望は、これから始まるんだ。
end