第3章 犬、時々虎。
.
なんだか要らない心配をさせてしまった。
申し訳ないなと思って謝ろうとしたけど
虎杖は颯爽と私の分のチケットも買いに行った。
……ポップコーン、買おう。
虎杖、なんの味好きかな。
塩、バター、キャラメル、チョコ………
結構種類が多いな。
ハーフハーフ、なんて2つも味が選べる
お得なモノも売ってるんだ……
知らない間に世の中は凄い事になってるな。
「ねーねー、君、1人?」
ポップコーンの看板を見ていたら
知らない、チャラチャラした男の人が
私に声を掛けてきた。
こういう人って苦手だ。
シカトが1番だな。
「ねー、シカト?聞こえてるよね?
1人だったら一緒に映画見よーよ」
凄い、うるさい。
周りに人もいるのに迷惑な人だ。
ずっとシカトしていて痺れを切らしたのか
突然肩を掴まれた。
「寂しいじゃん、一緒にみ「雪奈!」」
「……虎杖」
「お兄さんゴメン、その子俺のツレだから。
その手、どけてくんない?」
「なんだよ、彼氏いんならそう言えよ」
ドン、と押されて倒れそうになったけど
虎杖が支えてくれた。
何はともあれ助かった。
.