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【Bプロ】Wrapped in love【金城剛士】

第4章 4


この仕事中は剛士くんのことを考えないことに決めたのに。
わたしは頭をふるふると振って仕事に集中した。

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野外フェスは成功し、わたしは有給休暇を取った。近くの良さげな旅館を取って、リフレッシュするつもりだ。
暑い中屋外の仕事で疲れ果てたのもあるし、単純にもう何も考えたくなかった。
ふたつの携帯の電源を切り、ホテルにチェックインした。

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入浴を終えたところで、受付から連絡が来た。

「お客さまです。いかが致しましょうか。」
「……今からロビーに行きます。」

わたしは溜息をつき、浴衣姿のまま、貴重品を持ってロビーへ向かった。

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「ちゃん。お疲れ様〜! 浴衣姿も素敵ね。とても似合ってるわ! フェスも大盛況だったらしいじゃないの。流石よね!」

夜叉丸さんはいつも通りの笑顔で私を出迎えた。

「夜叉丸さん。ありがとう。メール、ごめんね。」

わたしはロビーで2人分のコーヒーを頼んだ。

「いいのよぉ!こっちこそ追いかけてきちゃってごめんなさいね。貴方のとこの部長にここに居るって聞いたものだから。駆けつけてきちゃった。」

ウエイトレスが持ってきてくれたコーヒーを片手に、わたしは罪人のような気持ちになりながら、夜叉丸さんに打ち明けた。

「剛士くんに、キスされた。」
「……剛士から聞いたわ。あなたが返品するって言うから、何やらかしたのよって連絡したの。もう、うちの子がごめんなさいね。」

夜叉丸さんはさも気にしてないふうに、頬に手を当てて軽い溜息をついた。

「できれば忘れてやって欲しいんだけど。」

そう言うとわたしの目をその琥珀色の瞳でじっと見つめた。

「……わかった。」

わたしはそう告げる他なかった。
というか、それ以外の選択肢なんて、無い。
俯いた私に、夜叉丸さんは明るく話しかけた。

「もうあなたの家に行かないように言うわ。まだ若い子だから、仕事とプライベートの線引きが上手く出来なかったみたいなのよ。申し訳ないけど、これからも大人として仕事の取引先同士として、普通に接して貰えたら有難いんだけど。」
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