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Short Storys

第2章 ささやかな願い(PandoraHearts/エリオット)


なんとなく狙った会話に、リーオでさえ気分が悪くなってくる。

いつエリオットがキレるか…

そうハラハラしていたが、エリオットがとった行動はいつもの彼らしからぬものだった。


「あ……エリ」

「失礼する。」


そう短く言い放ち、彼女らを軽蔑するように見下ろしながら、すっと脇を通ってその場を離れるエリオット。

その瞳に怯えたのか令嬢らは口をつぐんだ。


「(エリオットも成長したな…)」


そんなことを思い、ふっと笑みを浮かべながら主のあとを追うリーオ。

そして突然のことに立ち尽くしたままの令嬢らに、すれ違い様にこう呟いてみせた。


「貴女方にはを越すことは不可能ですよ。」


…途端、令嬢たちが唇を噛み締めたのを横目に見ながら、リーオはエリオットのあとを追いかけた。


*―*―*―*―*


「ちょっと待って、エリオット!」

たたた、と主のあとを追いかけるリーオ。

呼ばれたエリオットは立ち止まって彼を振り返った。


「ん、ああ、リーオ。」

「どこに行ったんだろう?」

「とりあえずいそうなところ探すか。」

「そうだね。」

「はーい!レイラちゃんも大賛成!」

……………。

エリオットの静かな沈黙。

少しだけ風が吹き抜けた。


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