第2章 はじまり
振り返り襖の方を見ると、いつもの人がいた
「‥」
死んだ魚のような目で見つめる銀色の髪の人
「あ。なんだっけ‥えっと‥」
しどろもどろで固まってしまう
「‥んー‥銀さんだろー華ちゃんよー」
と、気だるそうに首もとを、かきながら近づいてくる
「そうだった、ごめんなさい」
銀‥さん?
申し訳なさそうに答えるも
気だるそうだった人は満面の笑みで近づいてくる
「なんだいつもの顔かって顔してるなってー‥って寂しいだろう?銀さんはどわーってなって‥こぉむしゃーってなって」
「ごめんなさい」
「‥いや‥まぁいい‥でっ今朝の目覚めはどうだ?」
「‥よくわかんないや」
ふと何も考えず自然に出た言葉
ただこれは、銀色の人を見る限り
目が覚めたときのいつものやり取りのようだ
朝から困らせてしまっているようだなと思う
「そか」
そういって、布団の横に腰をおろす
このやりとりは何回目なんだろうか
布団の中でいつかのやりとりを思い出す