第3章 日常
ザワザワっと風が強くなり桜の木も音を鳴らす
「…今なにか…」
「なんもねぇよ、ただ、綺麗だなって言っただけさ」
くすくすと笑みを浮かべながら
「確かに桜がきれいだね」
と答えるも
「お前が、だよ」
と即答する
急なやり取りに驚く華を見て
フッと笑みが溢れる
俺…こんなクサイことすら、言えるぐらい切羽つまってんのかもな…
固まってしまった華をワシワシと頭を撫で
「さて、俺らは家に帰りますか」
無言の華を背に連れ歩き出す
しばらく無言が続くも
『…帰るっつったら、一緒に《家=万事屋 に帰る》』
ニヤニヤがとまらない
『だってあの華さんが…おりこうに…ついてくる…』
本当にニヤニヤがとまらない