• テキストサイズ

ヒプマイ創作BL 帝幻「隠し事」

第6章 友達以上恋人未満~偽りを語る男~


夢野幻太郎は息を吐くように嘘を語る。そんな彼に有栖川帝統はよく騙されることが常々だった。正直、時より苛立ちすらも覚えるその嘘に有栖川帝統は悩んでいた。
「ダ・イ・スは~ん♪」
「にゃわ!!」
「これはまたご挨拶ですね…」
「幻太郎!脅かすなよ!」
「あなたを街中で見つけたので、ついからかいたくなりましてね」
「なんだよそれ!ふざけんな!」
ふふ…と笑みをこぼす夢野幻太郎は、きっと今日も嘘をつくのだろうそんなことを思っていた。街中で会うことはたびたびとある
飴村乱数に呼び出されたときは、ほぼ必ずと言っていいほどに…
だが…今日は飴村乱数に呼び出されたわけではない。各々用があって街中にいるのだ。有栖川帝統はもう用は済ませた後で、夢野幻太郎はまだである。
「では、小生は行くところがあるのでこれで…」
夢野幻太郎がそういった最中、有栖川帝統の腹の虫はぎゅるるる…と音を立てた。
「いや、実は3日間何も食べてなくてよ…」
「はあ…まったく、どうせ行くのは最寄りの喫茶店ですし…何かおごって差し上げますよ」
「本当か!マジ助かるわ~!やっぱ持つべきもんはマブダチだな~」
「まったく…都合のいい人ですね…」
そう呆れながらも、有栖川帝統と夢野幻太郎は喫茶店「霞」へと向かった

「どれにすっかな…」
「別にどれを頼んでもかまいませんが…邪魔だけはしないでくださいね」
「おう!」
夢野幻太郎はそういうと、原稿を取り出し執筆を始めた。
有栖川帝統はその姿を見るとつくづく思う、綺麗だなと…
いつも嘘ばかりついている人間はこんな綺麗な顔立ちで物事の偽り誠を語っているのだ。表情一つ一つに抜かりなく嘘の仮面をかぶり、有栖川帝統はそれに毎度毎度騙されてしまう
だが、それも悪くないとそう思ってしまうのはなぜだろうか…と、常日頃思う。この嘘つきは偽りを語るが…優の持ち主でとても情に厚い人間で、負けず嫌いで…でもとても繊細な心を持っている。有栖川帝統はマブダチと思っている感情にもう一つ、別の感情を抱いていることを自覚している。
「いただきまっす!!はむっうん…むう……」
「まったく、食べるときもせわしない人ですね」
そういいつつも常にこぼれる笑みに有栖川帝統は、その感情を秘めたまま笑みをこぼす
「へんたろ~…ほれ、おいふぃ~ぞ~」
「はいはい、それは僥倖」
まだ、この気持ちを伝える気はないまま時を流す
/ 6ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp