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想い人

第9章 その鬼は


「おらぁ糞鬼ぃ!まだまだだぁ」

不死川さんが私の前に立っていた

「高重!大丈夫かぁ」
「げほっ」

肺が潰されて呼吸が苦しい
血を吐く

「っく、大人しくしてろぉ!すぐ終わらせる」


風の呼吸 伍ノ型 木枯らし颪


ぶわっと風が吹き鬼を斬りつける

「し、しなず がわ...さんっ」
「喋るなぁ!」
「ち、ちお..や、なの」
「なにぃ!?」

だからと言って斬らないわけにはいかない

「悪りぃ高重、斬るぜぇ」

地を蹴り不死川さんは見えなくなった
それと共に鬼の首は重い音を立てて
落ちた



灰になる鬼を薄目で見つめながら涙を流す

「とぉ、さん」

不死川さんが私に駆け寄る

「大丈夫かぁ!」
「あり、がとう...」
「もう喋るな」

不死川さんは私を抱えて立ち上がると急いで蝶屋敷に向かった
その間に私は気を失った




目を覚ますとそこは見慣れた天井

「...わたし」
「目ぇ覚ましたかぁ」

不死川さんが私が眠るベッドの横に座っていた

「不死川さん、ごほっ」
「あんま喋るなぁ。肺をやられてる」
「ごほっごほッ」

咳をすると肺が痛む

「あり、がとう」
「悪りぃ...鬼になったら斬るしか救えねぇ」
「わかってる...」

私は頷いた
わかっている
『助けて』と聞こえたのは紛れもなく父の声だった
鬼になってしまった自分を解放してほしいと助けを求めた
父の声だったのだ

「わたし、には斬れ、なかった」

不死川さんは静かに聴いてくれた

涙する私をそっと撫でてくれる
優しい手だった


私が眠るまでずっとそばにいてくれた
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