第9章 その鬼は
今夜は一人の任務だ
気を引き締める
町へついて情報収集をする
鬼は無差別に人を襲うらしい
特定ができなかった
とりあえず夜の町を歩いて見回りをする
「!」
背後に鬼の気配
向かってくる殺気に刀を抜き受け止める
鬼は体が大きく力が強かった
ぐぐぐっと押される
「っ」
「ぐへへ!今日は若い女だぁ」
気色悪い声色で話す鬼に嫌悪感が走る
「黙れっ」
キィンと鬼の爪を弾く
「おまえは何人の人の命を犠牲にしたぁぁ」
私は太刀筋を変え鬼に斬りかかる
ふと鬼と重なる面影
「っ!?」
ズサってと体を捻り鬼から距離を置く
「なんなの...」
鬼が誰かと重なる
人の面影を残す大きな体の鬼
頭がズキンと痛む
「っく」
頭を押さえていると鬼が私の頭を鷲掴みする
大きな鬼の手はすっぽりと私の頭を覆ってしまう
「ぐぁあッ」
「へへへ残さず食ってやるよぉ」
このままじゃやられる
持ち上げられた体を捻り刀を回転させる
鬼の腕を切り落とした
切り落としたところですぐに再生する
「っはぁ...ッ」
重なる面影
それは昔小さい頃に見た...
「とぉ、さんっ!?」
父親と重なる鬼
その隙に鬼の爪が私の身体を裂く
「っあぁ!!」
隊服が破ける
地面に片膝をつけて刀で体を支える
こんな下級の鬼
いつもならすぐに倒せる
なのに重なる父の面影が首を切らせてくれない
甦る記憶
父は私を捨てたのではない
鬼となって
母を殺し、今まで生き延びてきたのだ
「っまさか...」
あの時の夢
助けをこう女性の夢
あれは鬼となった父に殺される母親だったのだ
小さな私は部屋の押し入れに身を隠していた
息を潜めて
「っこの!くそぉぉ!」
涙を流して刀を振る
花の呼吸 弐ノ型 御影梅
凄まじい連撃をくりだす
鬼の体に無数の穴が空く
ひるむ鬼の首をすかさず斬り込みに行く
『助けてくれ』
そう聞こえた気がした
一瞬の隙に私は鬼に捕まり投げ飛ばされた
近くの民家の塀にめり込む
「がはっ」
大量の血を吐く
刀を...拾わないと
鬼が落ちた刀を踏みつける
もぉ...ダメだ...
その時
ヒュッと音と共に風が吹く
風の呼吸 弐ノ型 爪々 科戸風