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月夜の欠片

第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後


「行ってしまったな。それにしても神様があのように可愛らしい姿をしている事もあるのだと初めて……」

知った。
そう続けようとしていた杏寿郎の言葉は、突然の小さな衝撃によって止めることとなった。

が胸元に飛び込んできたからだ。

「どうした?皆が寝ているとは言え君から人前で抱きついてくるなど珍しい」

穏やかで温かな声音、それに加えて背に回してくれた腕の優しい感覚がの胸の中を幸せで満たしていく。

「杏寿郎君は本当に私にたくさんの幸せを運んできてくださいますね。柱の方々や隊士の方々、お義父さま、千寿郎君。そして両親………お狐様。全部杏寿郎君が繋いでくださったご縁です。杏寿郎君と出会っていなければ皆さんと出会う事はおろか、私は生きてすらいませんでした。杏寿郎君に対する感謝と自分の中だけで処理し切れない愛しさが溢れまして……おさめ方が分かりません」

自分から飛び込んできたくせに、杏寿郎の胸元に触れている頬や背中から伝わる熱が徐々に上がってきている。
そんなに笑みを向け、背中に回していた手をの顎に当てがって自分を見るように掬い上げた。
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