第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
「前にも言ったが俺はきっかけを作っただけだ。それを繋ぎとめているのは自身……それにあまり愛らしいことを言ってはいけない、今度は俺の歯止めが効かなくなってしまうだろう?」
「そのきっかけを作れる杏寿郎君がすこいんです。あの……明日は歯止め効かせないでもらえませんか?私に……我慢しないでほしいです」
出会った頃は表情が乏しく何を思い考えているのかイマイチ理解出来なかったのに、今目の前にいる少女は笑顔になったり顔を赤くしたり……あまつさえ杏寿郎を煽るまでになった。
思わず杏寿郎が目を見開き驚くほどの変化である。
「女の子がこんなことを言うのは……はしたなくてお嫌……でしたか?」
そして大きな双眸が不安げに瞼によって半分隠れてしまい、杏寿郎は我に返って不安を取り除くように口付けを小さな唇に落とした。
「嫌など思うわけがない。君から求めてもらえているのだ、嬉しいに決まっている。あぁ……愛らしいな。ずっとこうして愛でていたいくらいに」
なんとも桃色な雰囲気を醸し出しているが、これに困っているのは未だに眠っていると2人に思われている柱たち。
会話の途中で起き上がればは羞恥から間違いなく気絶する。
『誰か起き上がれよ!』
薄目を開けて何人かが視線のみでその行為を押し付け合うも、それをする必要なく起き上がることが出来る時が来た。
2人が皆の体を揺すり起こしにかかってくれたから。
無事にに起きていたことを勘づかれる事態は免れたが、杏寿郎はやはり気付いていたようで、小さな声で皆にこっそり謝罪をしたそうな。