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月夜の欠片

第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後


弾かれたように走り去るを見つめている生首……元言い義勇は蝋燭を片手に悲しげに瞳を揺らしている。

「月神……俺は幽霊じゃない。ただ、蝋燭を月神に返してやろうと思っただけだ」

なんと親切心から蝋燭に火を灯し、暗がりを1人怖がりながら歩くのために渡してやろうと思っただけだったようだ。
それなのに間が悪かった。

顔もちゃんと確認せず、は義勇を男の生首だと勘違いして涙を流しながら……蝋燭と義勇を置き去りに奥へと消えて行く。

「……煉獄、すまない」

小さな小さな義勇の謝罪は行冥のお経に掻き消されてしまった。




「な、生首……もう無理です!杏寿郎君、怖いです!お願いします……隣りにいて下さい!もう無茶しないって約束するから……杏寿郎君……怖いよぉ……」

木刀を構えながら頼りなく涙をポロポロ零すの姿を確認したのは蜜璃と小芭内……
2人は顔を見合せ頷き合うと、を泣き止ませるために木の枝の上から移動しようとした。

したのだが……何を思ったのか鏑丸が小芭内の首元からスルリと離れ、ポトリとの肩へと着地してしまった。
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