第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
「どうしましょう?!走ったから蝋燭の火が消えちゃいました!怖い怖い怖い!えっと……先ほどの女性が幽霊ではなかったとして、あと6人か7人の柱の方が……」
元々心許なかった蝋燭の火さえ消えてしまい、辺りは月明かりのみという何とも辛い現実のみがを襲う。
「鬼も怖いですが……幽霊の方が怖いです!棗姉ちゃんかあの方ならばお会いしたいけど、それはそれで心配と言いますか……」
もう灯りの意味を成さなくなった蝋燭を石畳へとそっと置き、代わりに所持を許された木刀を掴んでジリジリとゆっくりと前へと歩みを進めるが……
「お経?!悲鳴嶼様ですよね?!いつもよりお声が低く途切れ途切れですが……悲鳴嶼様ですよね?!近くにいるなら側に来て下さい……怖いんです!」
の予想通り、お経を唱えているのは行冥である。
あまりにも悲壮な声音に反応して一瞬迷ったように声が途切れたものの、再び不気味にお経が響き出した。
「悲鳴嶼様ではないのですか?灯りもないのに……っ?!きゃああ!」
聴覚の次にを襲ったのは視覚。
地面に置いたはずの蝋燭が浮かび上がったかと思うと、白い着物を着た男の手によって火が灯されたのだ。
しかもその火が男の顔を下から照らしだし、まるで生首が空中に浮かんでいるように…… には見えた。