第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
「あぁ……はいはい。それより1人で横道に逸れるような事だけはしないでくれると助かる。月神に怪我の1つでも負わせようもんなら、煉獄さんはともかく……宇髄さんとか不死川さんに何言われるか」
キョトンとするのはだけ……
他の皆は苦笑いを浮かべ、間違いなくこの中で今1番気苦労の多い樹を哀れんだ。
それからどんどん皆の姿が鳥居の中へと消えて行き、その度に聞こえる悲鳴に体を震わせながら……鳥居の前にはと樹だけが取り残されている。
この機会を待っていたようには体の震えをどうにか抑え、樹へと真剣な眼差しを向けた。
「樹さん、棗姉ちゃんの事……歩きながらで構いません。聞いて下さいますか?」
「歩きながらって……月神余裕ないだろ?いいよ、急いでないからさ。また後日……でも」
先ほどまで呆れるくらいに怯えを滲ませていた瞳はなりを潜め、今は悲しみの色が1番濃く出ているように見えて、樹は先の言葉を続けられなくなった。
一先ず足を動かさなくてはならないので足場の悪い石畳へと進み、隣りで小刻みに震えながら歩くの言葉を静かに待った。
そして気持ちを落ち着かせるためか……深呼吸する気配を感じ取ったと同時にの口からしっかりとした声音が響く。
「私、棗姉ちゃんが亡くなった任務に、実弥お兄さんと後から合流したんです」