第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
ほんの数秒、なんの前触れもなく訪れた口付けを先に終わらせたのは未だに驚いている杏寿郎だった。
「……宇髄たちがいなければ……恐らく先を望んでいた。君は俺を煽るのが上手すぎて困るな。明日が来るのが待ち遠しくなってしまったではないか!」
「煽ったつもりは……でも待ち遠しくなっていただけたのは嬉しいです!大好きです!」
ギュウッと抱き着いてきたを満面の笑みで抱き締め返してから手を握り、ようやく部屋を出るために襖に手を掛けた。
「さぁ、行こうか!これ以上待たせるのも悪いのでな。それにお楽しみのラムネがぬるくなっては台無しになってしまう!俺は初めに酒を飲むが、その後はラムネも飲みたいので相手をしてくれ!」
手を引かれながらパッと更に頬を紅潮させ、キラキラと瞳を輝かせたは大きく頷き小さく笑った。
「もちろんです!杏寿郎君も、お待たせしてしまった皆さんにもついで回ります!あの、ラムネ……1人で2本飲んでもいいですか?贅沢過ぎだとは思うのですが……」
本当に確認した。
その返答はもちろん
「何本でも、好きなだけ飲むといい!」
だったのは言うまでもない。
そして耳が超人的にいい天元に一部始終全ての会話が筒抜けだったと知るのは……僅か数秒後。